Hideko Nakatani's site
石は岩だった

 

私は昔、

岩だった。

 

 

いつのことだろう。

 

 

静かな静かな海があった。

そこの

断崖絶壁にある岩だった。

 

 

空を水晶のように鳴らせば

響くような天の星の輪があって

 

 

どこまでが私かわからず、

広大な私だった。

 

 

 

 

 

 

 

たまに人が来たり

鳥も来たし

苔も草も花も生えたし、

 

 

風はいつもきもちよかった。

 

 

今でもきもちいい。

風はそういうところがある。

 

 

 

ずっと動かないと思ってたんだけどなぁ。

 

 

 

岩のときも

石の今も、

それぞれにいい。

 

 

 

 

 

 

 

 

岩だったとき、私は恋をしたのだ。

 

 

 

美しい衣をまとった

人間の女の人だった。

 

 

 

見ていただけだったけど。

 

 

たまに

私に座って

長い時間、海を見ていた。

 

 

 

 

 

 

何万年前だったかな。

 

 

 

 

 

本当に美しかったのです。

 

 

 

 

 

ある地球のお話 - -
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