Hideko Nakatani's site
くまは待っている

 

そういえばね

この前、

 

 

料理がうまくつくれる熊に

出会ったんだよ。

 

 

そうだよ。

にんげんがたべる料理をつくれる熊なの

 

 

その熊はね

 

 

 

にんげんと

話してみたいわぁ。

 

 

 

って

こっそり眺めたり

 

 

追いかけたり、逃げられたり

してたんだって。

 

 

 

 

 

 

はじめて

その熊に出会ったとき

 

私もね、逃げたの。

 

 

鈴を鳴らしたけど

熊はこちらに走ってくるし。

 

 

まさか、

 

 

 

やったぁ

にんげんじゃん

しゃべってみたい!

 

 

 

なんておもっているとは

おもわないじゃない?

 

 

あのとき転ばなかったら

いい熊だって

気がつかなかっただろうなぁ。

 

 

 

熊は

 

きのこたっぷりのスープと

お魚とお野菜たっぷりのスパゲッティと

はちみつのソースをたっぷりかけたプリンを

つくってくれて

 

いっしょにたべた。

 

 

たくさんしゃべったよ。

 

 

 

 

いっしょに

絵本もみた。

 

どこで拾ったのか

何冊もあった。

 

 

その熊ってね

笑うんだよ。

 

 

ほっほっほおぉ

 

ほっほーぉ

 

 

 

 

 

 

 

帰りに

赤いエプロンをくれた。

 

ちゃんと綺麗な生地で

 

 

くま

 

 

って、刺繍がされてたの。

 

 

熊は

にんげんに

 

 

くま

 

 

って

呼ばれてることを知って

 

 

うれしかったんだって。

 

 

 

 

 

ある地球のお話 - -
眠れない羊

 

羊は羊を数えていた。

 

 

 

羊がいっぴき

 

 

羊がにひき

 

 

 

・・・なんだか

 

 

友だちの顔が浮かんじゃう。

 

 

 

 

眠れないなぁ。

 

いつもは

すぐ眠くなるのに。

 

 

羊は

さっき見たばかりの窓の外を見た。

 

 

 

夜だなぁ。

 

 

はぁ

 

 

 

いつもより

夜だよ

 

 

 

こういうとき

羊は何を数えたらいいんだろ。

 

 

んとー

 

 

 

 

 

 

アイスクリームがいっこ

 

 

アイスクリームがにこ

 

 

ストロベリー味がいいなぁ。

 

 

マンゴーとか

黄色いのもいいな。

 

おっと

 

 

 

アイスクリームがさんこ

 

 

アイスクリームがよんこ

 

 

メロン味もいいな。

 

 

 

アイスクリームがごこ

 

 

アイスクリームがろっこ

 

 

アイスクリームがななこ

 

 

 

 

 

 

眠れないまま羊は

アイスクリームを数えていた。

 

 

アイスクリームは

1000個を超えていた。

 

 

 

 

 

真夜中の静けさと

木々は

気がついていた。

 

 

 

 

ぜんぶストロベリー味だった。

 

 

 

 

 

ある地球のお話 - -
ピクニック中でございます

 

わたくしは

ピクニックが大好きです。

 

 

はぁぁー

 

寒くなってまいりましたねぇ。

 

 

 

姫さまは、お昼寝でお眠り中ですので

わたくしは休憩です。

 

 

川辺の芝生の上で、

近所のお気に入りのお店で買った

サンドウィッチとカフェラテ。

 

これがわたくしの「ピクニック」。

 

 

 

 

どんぶらこ

 

 

 

 

 

 

ん?

 

 

 

 

 

どんぶらこ

 

 

 

 

 

桃?

 

なわけないですよね?

 

 

 

・・・

 

 

UFO?

 

 

 

 

 

 

 

 

初めて見ましたけれども。

 

 

えーっと?

 

川を、UFOが流れていますね。

 

 

 

えーっと

 

 

 

 

 

 

 

わたくしだけですか、ここにいるの。

 

 

みなさま、UFOが川を流れていきます。

 

 

 

 

UFOを見たのは初めてですし、

 

UFOが流れているのも

初めて見ました。

 

 

桃だとしても

流れているのは

見たことはないのですが。

 

 

 

 

 

お写真を撮ろうと

サンドウィッチの味も忘れて、

UFOを追いかけました。

 

 

 

 

どんぶらこ

 

 

 

どんぶらこ

 

 

 

久しぶりに走りました。

 

 

 

 

 

 

 

どんぶらこ

 

 

 

こんなにお近くで見ても・・・

 

 

 

 

 

 

あぁっ!

 

 

 

 

 

 

誰か

出てきますっ。

 

 

 

 

 

ある地球のお話 - -
プクプク

 

光は泡立ち

 

 

透きとおっている

 

 

 

 

音をたてて

 

 

水の底

 

 

 

 

 

 

 

 

 

プクプクプク

 

 

 

 

 

 

光は溶けて

分かれて

ぶつかりあい

 

 

笑って

溶けた

 

 

 

 

 

 

 

 

プクプクプク

 

 

 

 

 

 

プクプクプク

 

 

 

 

 

ある地球のお話 - -
きのこたちの山

 

小さいきのこが、いいました。

 

 

 

 

ぼくらは「毒きのこ」なの?

 

 

 

 

 

 

きのこたちは

口ぐちにいいました。

 

 

 

・・・毒?

最初から

これだよね?

 

 

 

にんげんがたべたら

しびれるだけでしょ?

 

 

 

勝手にたべといてさ!

 

 

 

カラフルなんだけど。

かわいくないのかなぁ。

 

 

 

かわいいとか、かわいくないとかじゃないんだよ。

毒があるか、ないかで

きのこはえらばれるんだ。

 

 

 

 

山はおもわず、いいました。

 

 

すきなように

生えればいいんだよ。

 

 

 

 

 

 

 

しばらくして

 

中くらいのきのこが

いいました。

 

 

 

ところでさぁ、

 

 

 

 

 

 

 

 

毒って、なんのこと?

 

 

 

 

 

 

 

知らない。

 

 

 

知らないわ。

 

 

 

知らないよ。

 

 

 

知らない。

 

 

 

 

 

ある地球のお話 - -
初めて空を見た日

 

眠い。

 

 

 

夢ばっかり見ている。

 

 

でも

覚えてない。

 

 

 

 

 

 

 

なんか

たのしかったような。

 

 

なんか

もやっと残っているような。

 

 

なんか

すっきりしたような。

 

 

 

 

たくさん眠ったのに

また

眠い。

 

 

かたい身体をやわらかくしながら、

ぼんやりと天井を見た。

 

 

 

こんな色だっけ?

 

 

 

すやすやと

また眠り。

 

 

 

起きたとき

天井の隙間から、雨が降っていた。

 

肌寒い風も入ってきた。

 

 

 

日にちがたつにつれて、

隙間はゆっくり大きくなっていった。

 

 

 

 

 

 

 

天井は

ぽっかりとあき、

 

 

初めて見た。

 

 

 

それは

空だった。

 

 

 

 

 

今は

空だとわかるけど。

 

 

 

 

それから、

あれが雲。

 

 

 

 

 

 

私は

つぼみの中に住んでいた。

 

 

 

 

 

ある地球のお話 - -
猫と影と月

 

どこまでついてくるんだろう。

 

 

 

 

ついてくる

 

 

 

 

ついてきてるよね?

 

 

 

 

 

 

 

 

友だちになりたいの?

 

 

いっしょに

あるきたいの?

 

 

 

 

涼しくなってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なにか

のむ?

 

 

 

 

 

ある地球のお話 - -
石は岩だった

 

私は昔、

岩だった。

 

 

いつのことだろう。

 

 

静かな静かな海があった。

そこの

断崖絶壁にある岩だった。

 

 

空を水晶のように鳴らせば

響くような天の星の輪があって

 

 

どこまでが私かわからず、

広大な私だった。

 

 

 

 

 

 

 

たまに人が来たり

鳥も来たし

苔も草も花も生えたし、

 

 

風はいつもきもちよかった。

 

 

今でもきもちいい。

風はそういうところがある。

 

 

 

ずっと動かないと思ってたんだけどなぁ。

 

 

 

岩のときも

石の今も、

それぞれにいい。

 

 

 

 

 

 

 

岩だったとき、私は恋をしたのだ。

 

 

 

美しい衣をまとった

人間の女の人だった。

 

 

 

見ていただけだったけど。

 

 

たまに

私に座って

長い時間、海を見ていた。

 

 

 

 

 

 

何万年前だったかな。

 

 

 

 

 

本当に美しかったのです。

 

 

 

 

 

ある地球のお話 - -
1円玉は世界一周を夢見ていた

 

どうにかして

世界を一周できないかな。

 

 

できそうな気がして仕方ない1円玉は、

お財布の中で夢を見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この人がたとえば、

ここでジュースを買えば、お店に移動できるでしょ。

 

 

んで

 

 

コーヒーを買ったサラリーマンのお財布に移動して、

その人が

かいがいしゅっちょう

に行くじゃない?

 

 

 

 

 

 

お財布から出ないまま、日本に帰って来ちゃう。

あはは。

 

 

 

じゃあー

 

 

 

そのサラリーマンが、アメリカ人となかよくなって

日本のお金としてあげる。

 

そして、アメリカ人のお財布に移動して・・・

 

 

いやいや

 

それ、記念になっちゃう

 

 

記念になってはだめだよ!

それ以上、移動できなくなるかもしれない・・・

 

 

 

 

ちょっと待てよ?

 

 

 

 

外国のどこかで落としてもらえばいいんじゃないかな。

 

拾ったその国の人が・・・

 

 

 

 

それも

記念になる確率高いか。

 

 

 

んー

 

 

 

国際線の飛行場にある

なんか小銭あったら入れる募金箱はー

・・・日本から出れないだけだし

 

 

 

じゃぁぁぁー

 

 

もうさ、海に落としてもらえば!

・・・沈むかぁ

 

 

 

あ!

 

 

 

 

 

世界一周する、船乗りのポケットに

入ればいいんじゃない?

 

 

 

するっと

 

 

 

なんとかして

 

 

 

 

 

 

 

・・・うん

いい!

 

 

船乗りの人って見抜くには

うんとー

 

どうしたら入れるのかなー

 

 

 

1円玉は

夢中で夢見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

さっきのお財布の持ち主は、橋の上で焼きそばパンをたべていた。

 

 

1円玉は

コンビニのレジの中に移動していた。

 

 

 

 

なんだ

 

 

 

かんだ

 

 

 

 

1円玉の

世界一周はすぐそこだった。

 

 

 

 

 

ある地球のお話 - -
森にははちみつが降っている

 

森にそわそわと雨の音がしはじめたとき、一筋だけ、

金色のあまい雨が降っているところがある。

 

 

サー

 

サー

 

 

雨らしい音がする。

きょうはどのへんだろう?

 

ぬるいミルクティーと、生きモノの形をしたクッキーをかじって

窓の外をちらっと見た。見えないのを知っていても。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ある日、散歩をしていた。

その雨は、そこだけ細く、金色に光っていた。

 

一度だけ、明るい時間に見たことがある。

人差し指が、あまくなった。

 

傘を少しずらして

口をあけて、舌を出した。

 

 

あまぁい。

 

あまいなぁぁぁ。

 

 

雨が少し強くなったら、消えてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

森以外でも、降っているのかな。

 

きょうはどこだろう?

どこの国?

 

誰に知られなくても、

森に金色の、はちみつが、降っているところがあるんだよ。

 

 

 

 

 

ある地球のお話 - -
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